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「………杉野さん。」
「はい!」
突然背後から低い男性の声がした。
ああああああ申し訳ない申し訳ない申し訳ない!
振り向いたらやはり、駒枝先生でしかなかった。
私はこの先生が少しばかり苦手。
情報量も少ししかない。
小泉君と同期のクールな医者。
それぐらいだ。
「小泉先生には内緒にしておきますが良いですね?」
そして恐ろしいくらい勘が鋭い。
「はい!」
「…おしるこ飲むんですね。」
冷ややかな視線がホカホカのおしるこに突き刺さる。
この人にかかればおしるこだってビビるに違いない。
「どっちかっていうとピーチティー派ですね。」
「…じゃあ、それは私にですか?」
「あ」
私の手からおしるこが抜かれてあっという間に彼の懐に入ってしまった。
その時間、数秒の間であった。
「助かります。変わり者と評判な貴方にも親切心は存在するのですね。」
そう言って奴は白い建物の中に消えて行ってしまった。
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