愛は萌えで十分だ

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 私は腐女子だ。見事に腐って二十六年。  ファッションより、彼氏より、三度の飯よりBLが好きだ。会社の同僚は今年のトレンドは何だ、メイクがどうだ、髪型がどうだの話しているが単語の意味さえわからない。  ボトムスは知らないがボトムズなら名作だとわかるくらいだ。  そんな私に声をかける人間は皆無で、残業も頼みにくいのか終電まで働いたことなど決算期しかない。カットに五千円も支払うなら同人誌が三冊は買える。  金勘定の基本は萌えだ。旅行に十万もかけるならコミケで散財したい。端から端までローラー買いできたらどんなにいいだろう。  そんな日々に激震が走ったのは十月の初旬だった。ただいまとペタンコ靴を脱ぐと玄関で仁王立ちした母が「行きなさい。でなければ家を出なさい」と鬼のような目でいった。  ――3Pものが見つかった? いや凌辱、触手ものが見つかったのかもしれない。あれはかなりエロエロしかった。あ、尿道プレイものか?  思いつく原因は限りなくただれている。
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