愛は萌えで十分だ

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「これよ!」  強くにぎられていたせいか葉書がところどころ折れている。  手に取り裏返すと『同窓会のご案内』とある。地雷CPを踏んだ腐女子とはこういう気持ちかもしれない。雑食の私は初めて実感した。 「行くわけないでしょ」 「じゃ出ていきなさい。二十六年も面倒みてきたから親の責任は果たしました。猶予はひと月です」 「立ち退きじゃないんだから……」 「女を立ち退いているのはあんたでしょ!」 「それは事実だけども」 「認めてどうするの!」 「いやだって、実際そうだし」 「小さい頃はあんなに可愛くしてたのに、どこでこんなになったのよ」  中二です。と心の中で即答する。母は私を飾り立てるのが好きだったようで、アルバムの写真はNyanNyanだかWnWnのようなオシャレをしている。なにもかも懐かしい。 「これは軍資金です!」  きっと立ち直った母は封筒を差し出した。えらく厚みがある。嫌な予感とともに封を開けると一万円の束がぴっちり詰まっている。  ――冬コミ行きたい! ポチリまくりたい!  即座に願望がだだ漏れるが、そこは黙っておいた。 「こんな大金どうしたの。ていうか同窓会と何の関係が」 「これを使って『まともな女の子』になりなさい。綺麗にして写真に残しなさい。そのためのお金です」
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