愛は萌えで十分だ

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 週に三度エステに行き、顔どころか身体をアルミホイルで包まれ蒸され、揉み解された。  ちまきか? 『リンパの流れがよくなりますから美肌効果も絶大です。お顔にあてていますのは』と逐一説明を受けるが難解な呪文のようでまるで覚えられない。 『雑種、地雷なし、リバ可、ABでもBAでもABAでも、ABありきで当て馬のCAからの意外なDAでもOK、死にネタ、甘々、こじらせ系です』の方が一発で覚えられる。 「お肌が綺麗ですので、お化粧も映えますよ」  ――心は穢れていますので。  何度も自己紹介しそうになるのを、そうですか? と耐えた。  それも最終週を終え、同窓会当日、午前十時にスタイリストと面談日を迎えた。リクエストはございますか? と問われるがブラジャーでさえスポーツブラの私に何かあるはずもない。 「清潔に見えればいいです」と答えるしかなかった。  ヘアメイク担当と相談しているそうで先に服を決めるという。これなどいかがでしょう。ウエストのリボンがアクセントで可愛らしさのなかにも大人さがありまして等、雑誌を見せられるがこんなものを見ても自分に似合うかどうかなどわかるはずもない。  テレビ放映のアニメ作品がブルーレイでは表情が修正されていたり、カットシーンの有無を聞かれた方が即答できる。六本の木も即答だ。 「お任せします」  力なく答えるのがやっとだった。
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