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俺は自分の性がオメガだとわかった時、この社会を支配できると確信した。
三種の性のうちオメガは最も珍しい性で、男でも妊娠することが出来る。
ベータ同士の子やアルファとベータの組み合わせではほとんどがベータに生まれるが、アルファとオメガの組み合わせなら高い確率でアルファが生まれる。エリートの子を成すための存在がオメガなのだ。アルファがどれほどの資産や肩書きを得ようが、その血を後世に繋げないのなら意味がない。
ヒエラルキーの頂点にアルファがいるのなら、裏の支配者はオメガだ。エリートの種を残すかどうかは希少な俺たちにかかっているのだから。
俺は嬉しかった。神様とのギャンブルに勝って、社会を制する力を手に入れたのだと思った。
日常生活が困難になるほど身体が痺れるオメガ特有の発情期も、俺にとっては喜ばしいこと。昼間たっぷり稼いで、たらふくに肥えたアルファを吸い付くせるのだ。オメガが発情期に入れば、アルファのヒートを誘う。性欲の手綱も握りしめている気分。
ま、発情期じゃなくてもセックスするけど。そうじゃないと俺も食べていけないし。
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