1.こんにちはハニーライダー

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 そこでタイミングよく古狼が戻ってきた。手にはほかほかの湯気がのぼるビーフステーキとガーリックライスのプレート。攻撃力高めのジューシーな香りが俺の胃袋を刺激してくる。 「サーヤは相変わらずだな」 「愚痴ったら撃沈。いつものパターンだね」 「ほら、冷めないうちに食えよ。あと金も忘れるなよ」  ウルフライダーの裏の顔、デートクラブ。このデート料金は二回にわけて支払うことになっている。  一回目はこの店を出る時。これは会計の時に古狼に払う。デート申し込みのためにはドリンクのオーダーが必要なので、そのドリンク代にデート料金をのせて請求。  二回目は従業員との熱い夜が終わった後だ。タイミングはそれぞれだけど、俺は客がベッドで眠っている間もデートだと思っているから、お別れ前にもらうことにしている。  おじさまから受け取った金から俺の取り分を抜いて、あまりを古狼に渡した。 「ひい、ふう、み……よし、安心して食え」 「いっただっきまーす!」  汚れた札束にバイバイして、美味しそうなビーフステーキを食べる。表面にこんがりと焼き目がついていて、ナイフを入れれば肉汁が漏れてくる。刻みタマネギたっぷりのソースも肉にあって、とにかく最高の味。  朝から味が濃い料理だ、なんて悪態はどこへやら。俺の胃袋はすっかり喜んでしまって、次から次へとフォークが止まらない。
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