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そこでタイミングよく古狼が戻ってきた。手にはほかほかの湯気がのぼるビーフステーキとガーリックライスのプレート。攻撃力高めのジューシーな香りが俺の胃袋を刺激してくる。
「サーヤは相変わらずだな」
「愚痴ったら撃沈。いつものパターンだね」
「ほら、冷めないうちに食えよ。あと金も忘れるなよ」
ウルフライダーの裏の顔、デートクラブ。このデート料金は二回にわけて支払うことになっている。
一回目はこの店を出る時。これは会計の時に古狼に払う。デート申し込みのためにはドリンクのオーダーが必要なので、そのドリンク代にデート料金をのせて請求。
二回目は従業員との熱い夜が終わった後だ。タイミングはそれぞれだけど、俺は客がベッドで眠っている間もデートだと思っているから、お別れ前にもらうことにしている。
おじさまから受け取った金から俺の取り分を抜いて、あまりを古狼に渡した。
「ひい、ふう、み……よし、安心して食え」
「いっただっきまーす!」
汚れた札束にバイバイして、美味しそうなビーフステーキを食べる。表面にこんがりと焼き目がついていて、ナイフを入れれば肉汁が漏れてくる。刻みタマネギたっぷりのソースも肉にあって、とにかく最高の味。
朝から味が濃い料理だ、なんて悪態はどこへやら。俺の胃袋はすっかり喜んでしまって、次から次へとフォークが止まらない。
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