545人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺、ここの仕事が合ってるから。色んな男とデートするの、好きなんだよね」
「そりゃ俺としては嬉しいが――」
理由を語らなかったためか、古狼は納得していないようだった。
「お前は他の奴らに比べて、発情期のペースが早い。一ヶ月に一度。つまりそれだけ妊娠する危険があるってことだ。変なアルファに犯されて事故る前に、番を見つけた方が楽じゃねぇのかと俺は思うんだよ」
オメガは発情期にセックスをすると妊娠してしまうことがある。発情期が来る間隔は人によって異なるが、俺はこの店でもハイペースで一ヶ月に一度やってくる。つまり俺は他のオメガよりも孕みやすいということだ。
発情期中のオメガは高く売れるということでデート料金も通常の倍になる。なので発情期のたびに俺の財布は潤っていいことばかりだ。発情期がきたらすぐに避妊薬を飲んでいるので、今までに事故ったこともない。
何で心配するのか。いいことばかりなのに。古狼を安心させるように笑って、乾いた喉にビールを流し込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!