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その日は久しぶりのゼロ。指名は入らず、閉店時刻までウルフライダーで過ごしてしまった。
他の従業員は売れていったのに、俺だけ居残り。肩身の狭さを感じて、お詫びとばかりに閉店後の店内を掃除していると、古狼が笑った。
「ハハッ。珍しいな、流加が掃除してら」
「指名なしだからね。クソ生意気な俺もお詫び掃除はするよ」
友達は連絡がつかない。指名が入っていないから店にも残れないし、古狼の家にも行けない。泊まるところなし。財布の中にはお札がたっぷり残っていたけど、ネットカフェに泊まる気分ではなかった。
それはたぶん、甘い外見をしていた実月のせいだ。あいつがアルファだと見抜けなかったことが俺の気分を沈ませていた。
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