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3.おともだち、友達
***
ボロい銭湯に行ったり、繁華街をぶらぶら歩いて時間を潰し、待ちに待った夜が近づいてくる。
出勤には少し早かったが、暇を持て余していた俺はウルフライダーに向かう。
その途中のことだ。ポケットに入れていたスマートフォンが鳴った。
ぶるぶると震えるスマートフォンを取り出せば、ディスプレイには古狼の名前が表示されていた。
こんな時間に電話なんて珍しい。おつかいがあるとか? でも店の電球は切れてなかったし、ストックもあったはずだ。
「もしもーし?」
ご機嫌な口調で電話を受けると、聞こえてきた古狼の声は沈んでいた。
『流加。悪いんだがよ、今日は臨時休業にするわ』
「は? 何で!?」
予想外の単語に叫んでしまう。俺が働いてからウルフライダーが休業したのはたったの数回。全従業員がインフルエンザを患った時と、店の改装工事ぐらいだ。
『理由は追々な。迷惑かけて悪い、稼げなくなるが大丈夫か?』
「一日ぐらいなら稼げなくてもへーき。明日は営業できそうなの?」
『わからん。奴ら次第だな』
おいおいしっかりしてくれよ。それに奴らって何のことだ。聞こうとしたが、先に古狼が喋ってしまったので飲み込む。
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