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「ぶっ……い、い、いきなり、こここ恋人!?」
「そこまで動揺することないでしょ。こんだけ広い家に住んでて、いい年齢で……恋人いそうじゃん」
俺が投げた直球に、実月はもじもじと照れている。こういう話に慣れていないのかな、こいつ。
「こ、恋とか……付き合うとか……そういうのはよくわからなくて」
「え? 童貞? 嘘でしょ、アルファなのに」
「どどどどっ――げほっ、げほ」
全然言えてないどころか、ビール吹き出してむせてやがる。
もしかして、本当に童貞なのか。からかいすぎたかもしれないな。
「ヘンなこと聞いちゃってごめん」
「だ、大丈夫です……そういう話にあまり慣れていなくて……」
「だろうね。あんたの狼狽えっぷりでよーくわかった」
二十八歳童貞アルファ。こんな可愛い顔して未使用って、オメガより希少価値高いんじゃないか。
「仕事ばかりの生活なので……友達すらいないんです、僕」
おいおい。友達までレベル下がったよ。って友達もいないのか、こいつ。
俺が知っているアルファの常識がことごとく覆っていく。何者なんだよ、実月って。
「友達もゼロって……じゃ、なんで俺を家に呼んだの?」
「それは――」
俺が聞くと実月は俯いた。ビール缶を両手で握りしめて、それからゆっくりと言葉を紡ぐ。
「僕の一方的なものかもしれないけど、仲良くなれそうだなって思ったんです」
「俺と?」
「はい。流加くんと話していると面白くて、楽しい気分になれて……だから友達になりたいなって」
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