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裏口を出て、男と合流する。軽い自己紹介を交わした後、腕を組んで繁華街を歩く。行き先はもちろん、繁華街の外れにあるホテル。
デートクラブと言えば、カタカナがたくさん並んでお洒落な言葉に聞こえるのかもしれない。でもやることは売春だ。身体と時間を売って、お金を稼ぐ。
ホテルに着いて、男の腕から離れる。時間を惜しむようにキスをして、首に手を回した。
唇の触れ合いだなんて暢気なことがしたいわけじゃない。かぱ、と口を開いて舌を伸ばせば、少し驚いたのかおじさまの方は遅れてしまって、俺の舌が割り込んでいく。
スーツのにおいと、たばこ。あとなんだろう、年齢を重ねた雄の香り。どれも嫌いじゃない。むしろスイッチが入る。
「……流加、くん」
唇が離れて、切なげな吐息と共に俺を呼んだ。
「風呂なんていいから、早く抱いてよ」
上目遣いをして、俺よりも背の高いおじさまに背伸びをして抱きつけば、答えるように手が回された。
どんな高級スーツを着ていようが、いい肩書きを持っていようが関係ない。全てを脱いでベッドに横たわれば、ベータもアルファも関係ない。ただの獣だ。
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