1.こんにちはハニーライダー

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 荒い呼吸が響く、バーと同じぐらい薄暗い部屋。  着いてからどれぐらい経ったのかは覚えていないけど、愛撫の丁寧なアルファだったことは覚えている。達してしまうのをもったいないと考えているのか、頂点近くまで高まったところで手は緩んでしまう。愛撫が丁寧って、悪く言えば焦らしプレイの好きな男ってことだ。  膝に身を預けて甘えるふりをしながら、おじさまを見上げた。自信に満ちた顔をして、きっと俺を飼い慣らしたつもりなのだろう。  昴った俺のモノを緩めに扱く指先は、こんな優しい動きじゃ達しないだろうと焦らしている。スイッチが入って欲に塗れた俺の身体がひくひくと震えていた。 「ねぇ、ガマンできない、挿れていい?」  おねだりに頷いたおじさまが俺の腰を引き上げようとして――俺はするりと逃げ出して、おじさんを押し倒した。  正常位なんてさせない。バックなんてもってのほか。そんなの俺が従えられているみたいじゃないか。  おじさまを見下ろし、脂と汗でべたついた頬を舌で舐める。 「俺が気持ちよくさせたげる」  甘ったるく囁けば、おじさまはこの先の快楽に気づいて、下品に口元を緩ませた。 「まったく、流加くんには困ったなぁ」  そう言いながらも興奮しているのだと、後孔にあてがった肉欲の硬さが証明している。  大きさも硬さも嫌いじゃない、合格点。全部飲み込んだ時の圧迫感を想像して心臓が高鳴った。 「見て。ほら、入ってく……」  サービスとして足を開き、ゆっくり腰を落としていく。閉じられていた後孔が、大きなモノにこじ開けられていく感触がたまらなくて、熱い吐息が漏れた。  ほら喜べよ。天下のオメガ様がお前のを咥えこんでやるんだから。  がつがつ攻めたくて俺を選んだのかもしれないけど、ご愁傷様。俺はそういう男じゃない。
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