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5.すきなのに、汚れてた
理性とか意識とか。ぶっ飛んでいた様々なものが戻ってきて目を開けると、そこは眠る前と変わらないベッドルームだった。
あれほど身体を這い回っていた触手の感覚は消えていた。夜の暗がりに溶け込んでいた寝室に光が入り、どこにも触手や、本体である黒い塊も見あたらない。
「……やっぱ夢、じゃん」
なんてひどい夢を見ていたのだろう。思い出すだけで恥ずかしくなってくる。
あの夢は長くて、何回達していたことかわからない。五回、いやそれ以上か。理性が飛んでセックスのことしか考えられず、玩具のように扱われているのに善がって、与えられる肉欲にしがみついていた。
あんな夢を見てしまうとは、そうされたい願望を持っていたってことだろう。情けない。マゾかよ、俺。
時刻が気になって、枕元に置いたはずのスマートフォンを取ろうと手を伸ばすが、見つからない。仕方なく起きあがると、スマートフォンはベッドから落ちていた。
「なんでこんなところに――」
拾い上げて、画面を起動する。そこに表示されていた日付に俺は息を呑んだ。
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