マルと仲本

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「もしもし、おかん、俺」 「俺てどちらの俺さん」 「どちらの俺さんてなんやー、俺や!」 「じゃかーしいんじゃ!この家はな、男しか電話掛かってこんのじゃ!俺や俺や言うたかて誰かわかるかい!」 {この頃、まだオレオレ詐欺は世間を騒がせてはいない} 「あ・・・、長男の俺です、すいません」 「はいはい、長男の俺さん、なの用事でっか」 「あ…用事考えるの忘れてた」 「なんやあんた…おかしいな、ところで長男の俺さん、おかんのハンコ勝手に出して出しっぱなし、あれは何でしょう」 「あ・・・あれは・・・その・・・あれや」 中学生が二人で長期外泊するのである。親の同意書と云うものが当然必要となる。俺はおかんに説明するのが面倒臭かったのだ、だって・・・ 「あれて、なんやねん」 「あの・・・そう!部活や、部活の書類にハンコ押さなあかんかってな」 「帰宅部って部活ですかー、あんた部活なんかしてへんやないの!吐けー!何に押したー!」 「あいや、部活、部活入るねん、夏休み明けたらな」 「何部やねん」 「あ…いやあ…の」 「なんやねん早よ言わんかい」 「あー、えーと・・・放送部・・・」 「あらそう、オーッホッホッ、わかった」 ガチャン だってこんなおかんやねんで?面倒臭いやろ。 しかし…なんで放送部なんか言うたんか未だにようわからん。
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