6人が本棚に入れています
本棚に追加
「もしもし、おかん、俺」
「俺てどちらの俺さん」
「どちらの俺さんてなんやー、俺や!」
「じゃかーしいんじゃ!この家はな、男しか電話掛かってこんのじゃ!俺や俺や言うたかて誰かわかるかい!」
{この頃、まだオレオレ詐欺は世間を騒がせてはいない}
「あ・・・、長男の俺です、すいません」
「はいはい、長男の俺さん、なの用事でっか」
「あ…用事考えるの忘れてた」
「なんやあんた…おかしいな、ところで長男の俺さん、おかんのハンコ勝手に出して出しっぱなし、あれは何でしょう」
「あ・・・あれは・・・その・・・あれや」
中学生が二人で長期外泊するのである。親の同意書と云うものが当然必要となる。俺はおかんに説明するのが面倒臭かったのだ、だって・・・
「あれて、なんやねん」
「あの・・・そう!部活や、部活の書類にハンコ押さなあかんかってな」
「帰宅部って部活ですかー、あんた部活なんかしてへんやないの!吐けー!何に押したー!」
「あいや、部活、部活入るねん、夏休み明けたらな」
「何部やねん」
「あ…いやあ…の」
「なんやねん早よ言わんかい」
「あー、えーと・・・放送部・・・」
「あらそう、オーッホッホッ、わかった」
ガチャン
だってこんなおかんやねんで?面倒臭いやろ。
しかし…なんで放送部なんか言うたんか未だにようわからん。
最初のコメントを投稿しよう!