マルと仲本

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俺は物心ついた時から霊感が強くてさ、人には見えない質(もの)が見えていた。 最初はそれを人に話したけど、例えば、誰かの不幸や事故を予言したりしたら、だんだん人に気味悪がられる様になってさ、もう、何かが見えても人には話さなくなった。 そんな事があったり、まぁ、色々あって、俺は、余り他人に深く近づかない様になり、孤独になって、ひとり、絵ばかり描いている様になり、やさぐれて行った。 俺が最も荒れていたのは中学の時なんだけど、荒れてんだから不良の友達ばかりだと思うだろ。 ところが、超絶喧嘩上等極悪不良少年の俺の友達は、意外にも、お宅系の子が多かったんだよね。 ワルい奴らは、俺を避ける。 決まってんじゃん、俺はワルに容赦がない。 俺の傍にきたらシバかれんだから、そりゃ寄ってこないさ。 それと、俺、体育会系が苦手なのね。 体育会系でガサツな奴ら見ると、すぐにイラッと来て手が出るもんだから、体育会系の奴らにも避けられてたな。 俺、小学生、中学生んときは、漫画家になるのが夢でさ、ずっと漫画描いてたんだ。 変だろ?超絶喧嘩上等極悪無頼の、めっちゃ不良が、セコセコと漫画描いてる姿ってよ。 でも、孤独だった俺は、漫画描いてる時が、一番楽しかったんだ。 学校の教科書なんて、一文字も読んだ事ないけど、漫画と、漫画を描くために必要な事は、図書館に通ってでも勉強してた。 そう、漫画研究会的な、私的な活動があってさ、俺はそこの連中と友達だったんだ。 そんな仲間のひとりが、仲本だ。 仲本は貧乏で、金が無いから画材どころかノートも買えなくて、いつもチラシの裏とかに漫画を描いていた。 画力はイマイチなんだけど、小間割と構成が絶妙で、ギャグマンガが得意な奴だった。
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