マルと仲本

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次の日から俺達は山に入ってカブトムシやクワガタを捕りまくった。 古いレースのカーテンを、適当なクヌギの木の下に丸く敷いて、一人は木に蹴りを入れ、もう一人が落ちてきた虫を選別、捕獲する。 雀蜂だけが少々厄介だけれど、後は至って単純な作業。 まぁ、カブトムシってのは、山ほど捕れるんだが、余り金にはならない。 メスが五十円。オスが百円ってのがその頃の相場。 ところが、クワガタ虫ってのは金になるんだこれが。 小クワガタでも百五十円。ノコギリクワガタで二百円。水牛になると三百円から四百円。ヒラタクワガタになると、小さくても五百円。大きければ大きいだけ、値段は跳ね上がる。 残念ながらオオクワガタは捕れないんだなぁ。捕れたら当時でも万に近い金額がつくんだが、黒いダイヤはその頃でも貴重だったのだ。 俺達はごっそりと昆虫を捕獲して、神戸の都会でそいつを売りさばいた。 「おっちゃん、今日もお願いします」 このおっゃん、昼間はこんな事して露天商をしているが、実は福原って歓楽街にソープランドを何軒も持っている、夜の帝王なのだ。 「おぅ、お前ら今日はえらい早いやんけ、お茶行こうや、おっさんがおごったろ」 「え!マジっすか!やったー」 計画最終日、売上は確か十万以上あったと思う。 その三割をおっちゃんに支払う約束で場所を借りていて、売上はおっちゃんに預かってもらっていた。
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