マルと仲本

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「ゴゥラァァアァ仲本!騙したな!つか、お前貧乏なくせになんでそんな貧乏臭いことにわざわざ金突っ込むんじゃい!そんなんやったら俺はこの金でおっさんの店で!」 『パチコーン!』 仲本に文句を言う俺の頭をまたおっさんがしばいた。 「いっでぇーなんやおっさん!」 「おもろい!行ってこいマル!」 「い!いやじゃー!」 「そない言わんと行ってこい、その代わりこの引いた三万円返したる、その三万持って帰ってきたら女抱きにこんかい」 おっさんが三万円をポイッとテーブルに投げ出した。俺はそれをつかみとり立ち上がった。 「仲本、行くぞ!修行や修行!坊主どもまっとれや」 お前・・・エロしかないんかい・・・ 「でもいいんですか、マルに三万返しても…」 「あはは、お前らが商売したら子供が集まるやろ、その親がよう果物買うてくれるんや、そやからかまへん、お前らはほんまにおもろい、どないや、学校出たらおっさんとこで働けや」 「いやいや…風俗は…」 「仲本!んな先の事なんかどうでもええねん!旅行会社行くぞ!」 「う、うん、」 「んじゃ行ってくるわ、おっさん、約束わすれんなよ」 「おぅ、勉強してこいや」 にこやかに手を振るおっさんを後に俺たちは近くの旅行代理店に足を運んだ。 旅行会社に行くと、当然丸坊主の中学生がカウンターに座るんだからスタッフのみなさんは怪訝な面持ちにおなりになる。 「すいません、この前新聞に出ていた、子供だけの高野山体験修行、まだ空き有りますか」 カウンター越しに呼びかける仲本のこの質問でハイハイって面持ちになるスタッフのみなさん。 「はい、全日程まだ空きありますよ」 「じゃ全日程お願いします」 「え…15日もありますけど…」 「じゃ15日で…」 「ゴゥラァァアァ!仲本!長すぎるわい!半分でええわい半分で!」 「じゃ、中とって10日間でええやろマル」 「んー、まぁそれくらいならええやろ」 {しめしめ、3日増えたわ} まぁこんな風にして仲本に騙されまくった挙げ句、俺達は出発の日の朝を迎えた。
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