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朝の6時前から垂水駅で仲本を待っていると、やつは少しの狂いもなく6時ちょっきしに駅に現れた。
紺のポロシャツに…、
なんでやねん!
テカテカつんつるてんの学生ズボン履いてやがる
驚くべきは手荷物である。
「なし」
「ないのである」
下着も、タオルも、あ…、歯ブラシだけケツポケットにささってやがる。
対して俺…、
ヒョウ柄の開襟シャツにネックレス。
黒のブーツカットにブーツ。
リュックには10日分のタバコ、ジュース、お菓子、エロ本、ティッシュが下着と洗面具以外の全てである。
垂水駅から三宮まで電車に乗り、後はバスで南にまっしぐら。さてさて着いた場所は如何にも山寺である。
「うわぁすげーなぁマル!」
「あぁー確かにすげー、なんもあらへん、見事なまでに文明から隔離されてるわ」
門前まで迎えてくれた坊さんはなかなか愛想の良い好々爺だった。
「ささ、此処で先ずは足を濯ぎなされ、昔の旅人はこうして盥を所望さたものじゃ」
言葉使いが…、江戸時代かい・・・
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