赤ずきんとは何か【概論】

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1-4. 森で一人きりで暮らす祖母 本件で事件現場となる森の中の家に住む祖母は、赤ずきんを取り巻く人物の中でも謎が多い。 繰り返しになるが、人を喰らうという狼が出没する森に、力もなく体も弱った老女が一人で暮らしていたという不自然さには首を傾げざるを得ない。 病を患って生活するにはいささか不便な場所に一人で暮らしていたのは、祖母はすでに死を受け入れている状況であり、彼女の生存確認のために赤ずきんは遣わされたのではないか。 赤ずきんが祖母の家に見舞いに行くことを狼に漏らし、それがきっかけで祖母は狼に丸呑みにされてしまうのだが、そもそも狼は森を縄張りにしていた生き物である。非力な老女が一人で暮らしていることなどすぐに嗅ぎつけ、本来ならば早々に丸呑みにしてしまったはずだ。 なのになぜ、祖母は赤ずきんが訪れるその日まで無事でいられたのであろうか。これは研究の中で残された最大の謎である。
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