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しかし、エレベーターを待ちながら零れてくるのは、やっぱり溜息。
そして、到着した無人のエレベーターに乗り込むと、
未波は、少し乱暴に「1」というボタンを押した。
私の運気も、下がりっぱなしなのかな。
あぁ、ポトス3個めかなぁ。なんかもう、何もかも嫌になる!
だが、ボヤこうが憤慨しようが、今の彼女には選択肢はない。
そして、運ばれた1階に降りた未波は、ちょっとだけ足を止め、
廊下の突き当りで、ぽっかりと口を開いているメール室の入り口を見つめた。
入口の向こうに、人影は見られなかった。
そして、そこを見つめる未波の胸には変な重さが詰まっている。
だがこれでも、もう社会人5年目。
あの突き当りに行って、人員の穴埋めするのが今の彼女の仕事である以上、
大人げない事もできない。
だから未波は、今度は踏ん切りをつけるために大きく深呼吸をひとつして、
廊下をゆっくりと歩き始めた。
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