88人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
2 前途多難
この日、未波は、帰宅するなりスーツも脱がずに浴室へと直行した。
そして脱衣所にバッグを置き、上着だけ脱いでブラウスの袖をまくり、
風呂を準備する。
それを終えて、風呂焚きのスイッチをポンと押してから、
その場で、腰に両手を添えて大きく反りかえった。
「うぅーん、疲れた」
本気で眩暈がしそうだった昭和課長の話は、一言一句、間違いはなかった。
現在のメール室のメンバーは、課長の矢代を入れて4人。
まずは、10時から15時までのパートとして従事する松本という中年女性。
「まだね、息子が大学で、お金がかかるのよ。
それと、旦那が定年退職した後の旅行資金を、こっそり貯めたりね」
初対面の紹介にも関わらず、あっけらかんと笑いながらそんな事情を話してくる。
最初のコメントを投稿しよう!