2 前途多難

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「こちら、辻上(つじがみ)さん。 他社の人なんだけどね、ウチの部署のエース」 顔の造作は、悪くない。 いや、むしろぎりぎりイケメンに入るのかもしれない。 それに背だって低くはないし、力仕事をやっているからだろう。 作業着の上からでも、引き締まった体格が見て取れる。 だが、そんな好ポイントなど霧散するほどの無愛想。 しかも、未波がきちんと挨拶をしたにも関わらず、 ジロリと睨むような視線を投げたと思うと、微かに頷いただけ。 その上、明らかに近寄るなオーラを振りまいてくる。 な、何? コイツ。 なんとも剣呑な空気を纏う男に、少し尻込みをしつつも未波もカチンときた。 だが、そんな彼女の内心など、全く気付いていないのだろう。 昭和課長が、相変わらず暢気な口調で続ける。 「いやぁ、先月まで、もう一人、男性スタッフの方がいたんですよ。 でも腰を悪くして、お辞めになっちゃいましてね。 だけど、さすがに4人だとキツくてキツくて。 ずっと人事にお願いしてて、やっと来てもらえて助かりますよ」 その言葉の通り、それからは、怒涛の「労働」が未波を待っていた。
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