1 負の連鎖

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だが、生まれて初めての大きな失恋の衝撃が大きすぎたのか、 フラれた時は、悲しむよりも、未波の頭も感情も呆然と空白になっていた。 しかし、それからしばらく時が経つと、 やはり無性に寂しさと虚しさが募ってくる。 そして、もう手の届かなくなった温もりが恋しくて、 何度も彼を迎えたこの部屋がやけに冷たく、無機質に感じられる。 そんな時に目にしたのが、小さなガラス鉢に植えられたポトス。 中心の緑を、白色が囲む雫型の葉。 それが数本、ハイドロカルチャーと呼ばれる茶色いビーズ玉のような物に 植えられていた。 しかし未波は、特別、植物が好きというわけではない。 それでもこの時は、なんとなく、その丸いガラス鉢を手にしてみた。 すると、ガラスのひんやりした感触が手の中にあるにも関わらず、 柔らかそうな葉から、微かな命の温もりが伝わってくる。 同時に、寂しさで隙間の空いてしまった心を優しく包まれる感覚を、 ふんわりと味わった。 だから、再び自分以外の命の温もりを部屋に招き入れたその夜、 未波は、久しぶりに安らかな眠りにつくことが出来た。
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