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だから、
どうせ、私なんか……。
こんな言葉が、即座に浮かんだ。
しかし弓香は、未波の躊躇をきっぱりと否定した。
「人の好みなんか、みんな違うじゃん」
そして、その言葉を実証するかに出会ったのが、
やや色白で、ほっそりとした高身長、澄んだ印象のある司法書士の翔だった。
すごく綺麗な手をしてますね。
それが、最初に彼が掛けてきた言葉だった。
しかし、そんな褒め言葉を受けたのは初めてで、
少し驚いている未波を、彼は誤解したようだ。
「あ、あの、別に手だけが綺麗って訳じゃないですよ」
その慌て方が、クールな印象と大きくかけ離れていて、
なんとも可笑しかった。
そして、思わず吹き出した未波に釣られるように、翔も笑いだす。
だが、それが二人の間の空気を一気に和ませた。
そして、お約束だからと思い込んでいた連絡先交換から、すぐに連絡があり、
あとは交際へと発展するのに時間はかからなかった。
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