1 負の連鎖

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だから、 どうせ、私なんか……。 こんな言葉が、即座に浮かんだ。 しかし弓香は、未波の躊躇をきっぱりと否定した。 「人の好みなんか、みんな違うじゃん」 そして、その言葉を実証するかに出会ったのが、 やや色白で、ほっそりとした高身長、澄んだ印象のある司法書士の翔だった。 すごく綺麗な手をしてますね。 それが、最初に彼が掛けてきた言葉だった。 しかし、そんな褒め言葉を受けたのは初めてで、 少し驚いている未波を、彼は誤解したようだ。 「あ、あの、別に手だけが綺麗って訳じゃないですよ」 その慌て方が、クールな印象と大きくかけ離れていて、 なんとも可笑しかった。 そして、思わず吹き出した未波に釣られるように、翔も笑いだす。 だが、それが二人の間の空気を一気に和ませた。 そして、お約束だからと思い込んでいた連絡先交換から、すぐに連絡があり、 あとは交際へと発展するのに時間はかからなかった。
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