88人が本棚に入れています
本棚に追加
負の連鎖。
なんとも嫌な響きを持つこの言葉が、
週明けの朝一番に、未波の頭に浮かんだ。
「米倉さん。
悪いんだけど、今日からしばらくメール室に出向してくれる?」
週末の失恋から癒えない気持ちのまま出社して早々、
呼ばれた課長から、なんとも不可解な事を頼まれる。
確かに、いま未波が所属するのは総務部だし、
メール室も総務部の管轄課の一つだ。
しかしそれは、あくまでも組織の便宜上。
名前の通りに「郵便物」だけを扱うその部署は、
仕事的に総務と絡むことは何もない。
だからメール室は、事実上、仕事も場所も全てが独立している。
そんな所に、なぜ未波が出向になるのか。
しかも、いきなり今日から――。
だから、当然ながらその疑問は、彼女の口から素直に零れ出た。
「あの、どういう事でしょうか?」
しかし、あろう事か、この疑問に課長の本間は首を捻った。
最初のコメントを投稿しよう!