4.事件の発端を

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4.事件の発端を

翌日になり、神奈川県警本部では、捜査本部が立ち上げられ今回の被害者は現職 刑事ということもあり大勢の捜査官が取り掛かることになった。 捜査対策本部長は、神奈川県警間宮本部長が、指揮を執り、 「今回の事件は、職務に全く問題もなく、一心不乱に取組んで下さっていた島中君 のためにも捜査官全員の協力で、彼の無念を晴らしていただきたい。」 との一声で始まった。  早速、鑑識課より現場検証の結果、事件発生時刻は、通報時刻午前9時45分の 5分前の午前9時40分と推定されるとのことだった。目撃者はなく、その時刻前 後だが、狭い通路の入口から犯人が出た可能性があり、商店街のモニターは、その 付近のみ死角であり今後も分析を急ぐと報告があった。近辺を事件直後に行った捜 査員の聞き込みの結果では、まだ定かではないが、商店街を一人で歩く島中刑事ら しき姿を見たという報告があり、足取りを追ってみるとのことだった。  以上の報告後、捜査員は、一斉に持ち場へ戻った。 江草刑事たち捜査一課15名は、担当割り当ての発表をしばらく受け、現場付近や 捜索に向かった。江草刑事は、警視庁捜査一課のベテランエースということもあ り、独自捜査で励んでもらいたいとのことだった。  しばらく、捜査一課で彼は、島中刑事の捜査担当ファイルや遺留品のメモ帳より 情報を収集していた。すると、捜査担当ファイルには、島中刑事が担当になった日 内新聞新聞記者の名前 瀬野義之 相談受付日付は、2カ月前になってあり、相談 者は、元同社勤務の 早島秀和 という掲載があった。相談案件は、瀬野氏が1年 前に出社しなくなり彼の居住地所轄の横波署に届け出たがなかなか行方不明のまま で、彼の同僚大北 正雄記者が変死したり彼が記者時代に親密にしていたらしい企 業、木ノ内産業のオーナー 木ノ内 忠行が変死という奇妙なことが起こり不気味 で日内新聞の副社長古見 佳彦からの依頼らしいことが記載されてあった。遺留品 のメモには、日時の数字と面会者の氏名らしきものが記入してあり手掛かりにと江 草刑事は、もう一つ買ってあった新品のメモに転記した。
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