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今日も私は彼の紅茶に目を注ぐ
毎日毎日毎日始発から終電まで、上司の小言、同僚の愚痴、仕事をしないそして何も覚えてない後輩の指導に明け暮れる日々。
彼氏……なんてものは、今の仕事について忙しさからすれ違いでさっさと振られました。
そんな私の週に一回の楽しみ……
そう、週に一度しかない休みのたびに私はこの扉を開く。
住宅地の中、本当にひっそりと年季の入った扉。
入り口には手入れのされた花やハーブのプランターが並び、シーズンになると薔薇も目を楽しませてくれるところから、店主の庭づくりへの拘りも感じる。
しっかり扉にかかっているプレートがOPENなのを確認して、扉を開けば私の憩いの時間の始まり。
「いらっしゃいませ!どうぞお好きな席へ!」
私はすっかり自分の定位置を決めている。
異国情緒溢れる内装を見渡せて、カウンターの中をひっそりと見ることのできる中庭を背にした席。
丁寧に手入れのされている中庭を見ながらお茶をしたい気持ちは捨てがたいのだけど……
「こんにちは、今週は何にしますか?ちょうど秋摘みのダージリンが入荷したところなので、紅茶でしたらダージリンがオススメですよ」
「あ、はい。ではそれとオススメデザートプレートをお願いします」
「畏まりました。ではごゆっくりしていってくださいね」
私の注文を聴くと、マスターの青年はカウンターの中へ入っていく。
ヨーロピアン調に合わせたアンティークの家具に囲まれて、沢山の本や置物が置かれている内装。
そして、カウンターの中で優しく微笑みながら、作業するマスターの姿が見えるこの位置が私の1番の特等席だ。
マスターの手から魔法のように美しい軌跡を描いて、一滴も零されることなくティーポットからカップへ紅茶が注がれている。
「お待たせしました。本日のオススメのデザートプレートはダージリンに合わせてマスカットと紅茶のゼリーと、ローズケーキとダージリンと栗のクッキーにしてみました」
綺麗に盛られているプレートに目を輝かせていると、青年は中庭の薔薇もちょうど秋薔薇が見頃なんです。よかったら後で見ていってくださいね。と微笑んで、カウンターの中へ戻っていった。
暗めの茶髪に紅茶のような赤みのかかった瞳。
ゆったりとした動きに優しい笑顔。
そしてこの美しく美味しいデザートに紅茶。
これが私の休日!
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