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「今は、これで堪忍してな」
夏物の服が入っていたダーボールの上に、位牌を置いたが、やはり落ち着かない。
「何か無いかなぁ?」家具はコタツと押し入れ収納ぐらいしか持ってきていない。
文子は、外にある物置を物色しに行く。前の畑を耕す鍬やバケツやフルイ、そして何に使うかわからない道具が散乱している。
物置の奥には埃で真っ黒になった長持ちや、古びた水屋があった。台所をリフォームした時にここにしまったのだろう。
「この水屋は使えるなぁ」
離れ用なので、大きくないのも好都合だ。社宅の水屋は取り付けだったので、食器を置く場所に困っていたのだ。長持ちも台所で作業する時の長椅子代わりにしようと考える。
「でも、埃だらけやなぁ」
そんな乱暴なことをして、良いのかどうかはわからないが、物置から出すと、外のホースで水を掛けて洗う。木の枠のついたガラス扉を外したり、引き出しも全部引っこ抜いて、洗い流した。
「これは一日干しといたら、乾くやろ。長持ちもついでに洗っておこう!」
思いついたら、即、実行する。
「ああ、疲れた……」
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