18/18
前へ
/392ページ
次へ
 だったら、一つ、頑張ってみようかな……。  短く嘆息して、また空を見上げた。  坂を一緒に野川さんと上る。また無言だった。 「じゃぁ」  俺は手を振った。野川さんが「うん、またね。また遊ぼ」と、まるで子供が約束するように言い、手を振った。  彼女も自分の住まいへ向かって行く。  俺の実家は高崎。近いけど存在はもう、遠くなってしまった。  けれども、仕方がない。  諦めて自分の道を突き進むしかない。  二回生からまた、頑張ろう。  少しの間の長い春休み。これを今は満喫してみよう。  といっても、ゴロゴロするだけだけど。  でもバイト位はしてみようかな。短期間の。  俺は、アパートの階段を上って行った。
/392ページ

最初のコメントを投稿しよう!

657人が本棚に入れています
本棚に追加