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「なんかホッとする味ですね。おいしいです」  加賀見君は、感嘆を漏らしてからフォークをどんどん、進めて行く。 「お二人とも、同じ会社で?」  妹さんがお代わりのジャスミンティと、彼の紅茶を置きながら尋ねてきた。 「えぇ、まぁ。でも俺達、今年いっぱいで会社退職です」  陽気な声で、加賀見君はふるまった。同情を込めた目を向けられると思ったが、妹さんは「そうなんですか」と表情を変えなかった。 「色々ありますものね。私も会社が倒産して、姉のお店手伝ってますから」  身の上話をしてくれて、私は娘を覚えてくれた彼女に、親しみを感じた。  まだ若いのに、彼女は彼女で苦労してきたようだ。アパレルの会社で働き、そこはまたブラック企業だった事を教えてくれた。  彼女自身も胃潰瘍になったり等、大変だったそうだ。 「そう。人生って悩み苦しみの繰り返し。生きていくって辛いものよ」  お姉さんの方も、妹さんの意見に同調した。  彼女も彼女で色々あるのかもしれない。
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