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 ぐにゃりとしてすでに一人では立てなくなった佳人は、広い胸にすがり、激しい口づけに懸命に応えながら、潤み切った目で芳崎を見上げた。 「触って、もっと……、おねが…、」  はしたない願いを口にした佳人に、芳崎が大きく目を見開いた。 「おまえ――」  クソッと狂おしげに呟くと、芳崎は佳人の手を引き、小高い神社の裏手から駐車場へと続く舗装の悪い階段を、いささか乱暴な歩調で降り始めた。  何か怒らせたのだろうか。自分がいやらしく誘うようなことを言ったから?   呆れられたのかと怖くなって身体の熱が冷めそうになった頃、芳崎は停めていた車のロックを解除し、後部座席へと佳人を促すと自分も後に続き、再びドアにロックをかけた。 「芳崎さ、」 「お前が悪いんだからな」  ひと言吐き出すと、再び熱い唇が佳人の唇を奪った。  外はほどんど陽が落ちており、後部座席の窓にもスモークフィルムが貼られている。外から見られる可能性は低いとはいえ、芳崎がこんな大胆な行動に走るとは思わなかった。  戸惑う佳人を強引な口づけが黙らせる。歯列を割られ、敏感な上顎の裏を肉厚の舌でなぞられるとビクンッと身体が跳ねる。 「ん…ふ…んんッ、ぁ……ゃ、ぁん…っ」  切ない喘ぎ声が狭い車内に響き、恥ずかしさと居たたまれなさにぎゅっと目を瞑る。
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