ドラゴンカフェふわふわ(第1話)

どらごんかふぇふわふわとドラゴン

　外見より遥かに広い店内を抜け、光溢れるテラス席へ案内されると、忙しない都会とは切り離された、まるで時間の流れが違う世界に招待されたのではないかと思わせてくれる空間が広がっている。気持ちの良い柔らかな風が木々を揺らし、時折聞こえる小鳥のさえずりと見事にマッチした店内の音楽につい笑みがこぼれたところで、視線を落とせばテーブルの上にはこれまたかわいいメニューの数々が並ぶ。
　バリスタの資格を持っている双子の片割れドラゴン『ふりりゅ』が直接産地へ赴き選び抜いて挽いた豆は芳しく、得意のラテアートの腕も披露してくれる。一方ブーランジェである双子のもう片方のドラゴン『べーりゅ』が北海道産小麦と天然酵母で作り上げるころっとまんまるなドラゴンを模した『もちもちプチドラパン』は不動の一番人気で、平日でも午前中には売り切れてしまう。
　店主の人柄やドラゴンたちのかわいさは勿論、その日適当に決めたお勧めメニューをいただいただけであっという間に虜になってしまった儂は、今やこの『どらごんかふぇふわふわ』の常連さんである。お気に入りのお店で過ごす至福のひと時。控えめに申し上げてパーフェクト。
「うむ、美味い」