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取り急ぎ一枚ずつ布巾を持った二匹はこくりと頷き、儂のもっふもふでダンディでスペシャルでマーヴェラスな、いっそ胸毛やたてがみに見えるお髭ちゃんにこぼれてしまったシチューを、小さな腕を大きく振り拭ってくれる。全然拭き取れてないけど、気持ちが嬉しいからそのまま続けていただこう。
この二匹、全くドラゴンらしくない見た目をしているが、最近登録されたばかりの『ファンシーリボンドラゴン』という新種らしい。
雌雄が存在しないため彼とも彼女とも呼べないから――身体がピンクの方と呼ぼうか。ピンクのドラゴン『ふりりゅ』はこの店『どらごんかふぇふわふわ』の看板ドラゴンである。名の由来であろう両?と尻尾のヒレのように重なるフリルと、妖精のような透けた羽が美しいドラゴンだ。双子の元気が有り余ってる方とも呼ぶ。コーヒーが大好きで、人間に混じって勉強をし、バリスタ資格を取得した努力家でもある。以前勉強中一番辛かったことは何かと尋ねたら、皆がメモをとっている最中、自分はペンを上手く持てないから文字が書きづらかったとのことで笑ってしまったが、メモをとるのをやめて全てその場で暗記することにしたというのだから凄い。
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