ある記者と女性囚人の対話

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 そうよ。夏も冬も秋も春も、お義父さんの知り合いって大人が家を無駄に出入りしていたの。片や三才から子供の群れに限定付きで放牧された。気持ち悪かった。酸素の減りが早いのか息は苦しいし暑いし……気持ち悪かった。私ね、嫌いなの。体温とか匂いとかそう言う人間臭さ。ほら、猫は子供に人間の臭いが付くと殺しちゃうでしょう? そんな感じ。 「だから、殺したの? 三十人も。……じゃあ罪人ばかりだったのは……」  だって、みんな納得するでしょう? “あー、あの人はああ言う罪を犯したから殺されたのか”って。少なくとも一般人を殺害するよりは。 「きみは……」  私はね、みんな嫌いなの。だから殺したの。 「そう……」  その内……。 「ん?」  ここも静かになるわよ。 『少女Mに対する考察』 ・彼女は極度の人嫌いだった。子供のころから大勢の人間に囲まれ育った。小さいころから人前で強要される品行方正のプレッシャーが彼女を歪めたのだろうか。まだまだ彼女には取材をするべき要素が在る。 「……と。まぁこんなもんか。  ……そう言えば今日はやけにこの医療刑務所は静かだな」    【Fin.】 ××××××××× ある記者と女性囚人の対話
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