猫と旦那さん

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猫と旦那さん

シロ、明けましておめでとう」  大晦日から、お正月にと年越しへの瞬間を真っ白な猫はコタツの中で過ごした。旦那さんが、コタツから引っ張り出して、新年の挨拶をしてくれたが、寝ていたのを起こされて機嫌は悪い。 『にゃん! 眠いのに何するにゃん。あっ、臭い! 酔ってるにゃん』  旦那さんは、真っ白な猫に頬ずりするが、お酒臭い。猫は鼻をしかめて旦那さんから顔を遠ざける。 「シロ、お前にもお年玉をやろう!」  酔っぱらった旦那さんは、酒のアテの笹かまぼこをちょこっとちぎってくれた。今は留守の奥さんがいたら、塩分が多すぎると怒っただろう。 『美味しいにゃん! もっと欲しいにゃん!』  可愛い顔で見上げると、旦那さんは身もだえする。 「シロ、可愛いなぁ」  もう一切れ貰って、うみゃうみゃ食べる。でも、塩分がキツくて咽が乾いた。台所に行って水を飲みたいが、ピシャンと閉めてある。カリカリカリ……と扉を開けようと頑張るが、古い家の立て付けが悪いガラス扉は猫には重すぎる。 『にぁん! 開けて欲しいにゃん!』     
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