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プロローグ
唐突だが、俺はいま、天文23年(1554年)の尾張にいる。
時代はまさに戦国時代。
日本中で、戦争が起こりまくっている乱世だ。
そんなご時世の真っただ中で、
「怪しげなやつらめ!」
「こんなところで、なにをしとる!?」
「こいつら、織田兵じゃぞ。きっとそうだ!」
俺は3人の敵兵に囲まれていた。
いっぽうこちらは、この俺と、
「……囲まれたのう。どうする?」
隣にいる相棒だけ。
相棒は、シワの多い猿みたいな面相を――
いや、よく見ると前歯が出ていて、ネズミのようにも見えるんだが。
とにかくその個性の強い面構えを、俺のほうへと向けてくる。
要するに状況は3対2。装備は大差がない。
俺たちも敵側も薄い桶側胴に鉢巻を巻いた、ただそれだけのかっこうだ。
しかしそれだけに戦った場合は、純粋な肉体的戦闘力がものを言うだろう。
そして敵は3人とも、やたらごつかった。腕なんか丸太のようにぶっとい。
いっぽう俺と相棒は――ふたりとも少年であり、小柄だった。
相手と比べるとたぶん弱い。てかめちゃくちゃ弱い。
で、敵たちも、そんな俺たちの図体に気がついたらしい。
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