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もっとなんとかならなかったのか。いまさらながら、悔やむ。
叔父さん譲りの技術も、確かに営業の仕事ではまったく活かせなかったし……。
「だけど叔父さん。なんで武器を自作してたんだろうな?」
叔父さんは、武器を販売したりはしていなかった。
そりゃまあ、売ったら逮捕だし当然なんだけど。
要するに金儲けのためではなく、ただ純粋に武器を作っていたんだよな、あの人は。
なんで武器を作ってるのか聞いたときは、笑ってごまかされたっけな。
「趣味――だったのかな……」
何気なく、その場にあった刀を手に取る。
ぎらりと、白刃が光る。
なにか、妖気のようなものを感じた。
孤独死してしまった叔父さんの魂が、刀に沁み込んでいるんだろうか。
俺はふと、武器を作った叔父さんの気持ちが分かった気がした。
「強さに憧れがあったんだろうな」
その気持ちが、俺にはなんとなく分かるのだ。
そうだよな。強くなりたいよな、叔父さん。
……強くありさえすれば、俺だって……。
「俺だって――なんだ?」
『俺だって』の続きがなんなのか、自分自身でも分からない。
俺だって、俺だって……その言葉だけがぐるぐると、渦になって脳髄の中を駆け巡る。
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