第一話 ある中年の孤独死

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 もっとなんとかならなかったのか。いまさらながら、悔やむ。  叔父さん譲りの技術も、確かに営業の仕事ではまったく活かせなかったし……。 「だけど叔父さん。なんで武器を自作してたんだろうな?」  叔父さんは、武器を販売したりはしていなかった。  そりゃまあ、売ったら逮捕だし当然なんだけど。  要するに金儲けのためではなく、ただ純粋に武器を作っていたんだよな、あの人は。  なんで武器を作ってるのか聞いたときは、笑ってごまかされたっけな。 「趣味――だったのかな……」  何気なく、その場にあった刀を手に取る。  ぎらりと、白刃が光る。  なにか、妖気のようなものを感じた。  孤独死してしまった叔父さんの魂が、刀に沁み込んでいるんだろうか。  俺はふと、武器を作った叔父さんの気持ちが分かった気がした。 「強さに憧れがあったんだろうな」  その気持ちが、俺にはなんとなく分かるのだ。   そうだよな。強くなりたいよな、叔父さん。  ……強くありさえすれば、俺だって……。 「俺だって――なんだ?」 『俺だって』の続きがなんなのか、自分自身でも分からない。  俺だって、俺だって……その言葉だけがぐるぐると、渦になって脳髄の中を駆け巡る。     
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