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「もちろんです。殿様はお身体を大事になさってください」
「六角家との同盟。わしと弥五郎がきっちりなしとげてきますでよ!」
俺と藤吉郎さんは、力強く言った。
信長は、微笑を浮かべてうなずいた。
こうして俺と藤吉郎さんは、信長の命を受けた形で南近江へ向かう。
滝川さんと佐々さんは、信長の護衛として尾張に残ることになった。
旅立ちのメンバーは、俺、藤吉郎さん、伊与、五右衛門の4人だ。
「これまでも、窮地は何度もあった」
熱田を旅立った直後、藤吉郎さんは言った。
「しかし今回は最大の窮地かもしれんの」
「……確かに。織田家が滅亡するかどうかの瀬戸際です」
六角氏は足利義輝と関係が深い。
織田家が出向いても無下には扱われまい。
だがだからといって、織田家と同盟し、今川家と戦ってくれるかというと。……そこまでは難しいかもしれない。
それを成し遂げられるかどうかは、俺たちの手にかかっているのだ。
「うふっ」
ふいに、藤吉郎さんは破顔した。
「……なにがおかしいんだよ、藤吉郎さん」
五右衛門は、怪訝顔を見せる。
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