第三部 第十九話 新たなる旅路

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「弥五郎、今日のお前はいつにもまして頼もしい。気合を入れてやろうと思ったが、その必要はなさそうじゃのう。……よろしい。それではいくぞ、皆の衆。我らが殿と尾張の民と、これからの天下を救うために」  藤吉郎さんの宣言に、俺たちは大きくうなずいた。  熱田を出た俺たちは、まずは津島に到着した。  神砲衆の屋敷に寄り、俺の生存を知らせ、かつ旅の準備をしなければならないからだ。 「あっ、アニキ!」  屋敷に戻るなり、俺を出迎えてくれたのは、甲賀の次郎兵衛だった。  田楽狭間の敗戦後、散り散りになった彼は、しかしなんとか生き延びて、ひとまず津島に戻ってきたらしい。 「次郎兵衛、無事だったか」 「アニキもよくご無事で。心配しておりやした」 「ああ。……生き残ったのはこれだけか?」  俺は屋敷の中を見回した。  次郎兵衛に、自称・聖徳太子ら山田五人衆も、その場にいた。  加藤さんにがんまく、一若もいる。主だったものは生きているようだが、しかし見えない顔もいる。 「はっきりと分かっているだけでも、11人討ち死にしやした。又兵衛、右近、吉兵衛、おぎん、左ノ助――」  次郎兵衛は、次々と名前をあげていく。  いずれも神砲衆の面々で、気のいいやつらだった。 「……皆、立派な最期でした」 「……そうか」  俺は頭を垂らし、首を振った。  仲間の死は、何度経験しても慣れない。 「カンナは? ……カンナはどこにいる?  伊与が尋ねる。     
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