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しかし次郎兵衛は、首を振った。
「こっちには戻ってきておりやせん。あっしはてっきり、アニキたちと一緒だと思っておりやしたが」
「…………そうか」
伊与は、くちびるを噛んだ。
藤吉郎さんと五右衛門も同様だ。
「……次郎兵衛。俺たちはこれから、お役目を帯びて近江へ行く。その間、きっと生きているはずの神砲衆の仲間たちを探してくれ。……もちろん、カンナもな」
「承知しやした!」
次郎兵衛は、大きくうなずいた。
それからさらに聞くところによると、信長討ち死にの報は津島にもすでに届いており、町人のうち何十人かは逃げ出したとのことだった。あかりちゃんも、海老原村に疎開したらしい。
この時点では賢明な判断と思う。
俺はうなずき、それから自称・聖徳太子たちに、
「上総介さまは生きておられる。俺がこの目でしっかりと見た。……津島中に触れ回れ。織田上総介はなお健在であり、織田家も終わってはおらぬ、と」
「「「「「ういっす!」」」」」
聖徳太子たちは、平伏した。
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