第二十三話 蜂楽屋カンナ

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「俺は山田弥五郎俊明。誓ってもいいが、君に対してはなにもしない。見ちゃいられなかったから助けただけだ。……ほら、いきたかったらどこにでもいきな。俺は絶対に君を止めない」 「………………。……あなた、本当に助けてくれたの……?」 「…………まあ、ね」 「…………信じて、いいの?」 「………………うん…………」  流れがなんだか照れ臭くて、俺はそっぽを向いてから――  しかし彼女の心配を消すためにハッキリとうなずいた。  信じていいよ、と。  その思いをこめて。  すると少女は、ふいに。  ひっく、ひっくと、嗚咽を漏らし始め―― 「……あ、あ、ありがとう。疑って、ごめん。あたし、あたし……。……うああぁぁぁん!」  ついには、号泣を始めた。  よほど感情が爆発したのか、何度もうわずりながら涙を流す。  そして―― 「う、嬉しいよ。嬉しか。……嬉しかあっ!!」  …………え?  …………嬉し、かあ?  ……………………えっと。…………博多弁?  金髪美少女が、博多弁全開なその光景。  ますます違和感。  ……え、ここ、戦国時代の尾張だよね?  どうもこの子、かなりの訳ありのようだが……。 「……な、なあ。よかったら、身の上を教えてくれよ。知り合ったのもなにかの縁だ。俺ができることなら、なんとか力になるからさ」  その上で「話したくないなら、無理にとは言わないけど」とも付け足したのだが、 「カンナ」 「え?」     
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