4657人が本棚に入れています
本棚に追加
/1319ページ
「俺は山田弥五郎俊明。誓ってもいいが、君に対してはなにもしない。見ちゃいられなかったから助けただけだ。……ほら、いきたかったらどこにでもいきな。俺は絶対に君を止めない」
「………………。……あなた、本当に助けてくれたの……?」
「…………まあ、ね」
「…………信じて、いいの?」
「………………うん…………」
流れがなんだか照れ臭くて、俺はそっぽを向いてから――
しかし彼女の心配を消すためにハッキリとうなずいた。
信じていいよ、と。
その思いをこめて。
すると少女は、ふいに。
ひっく、ひっくと、嗚咽を漏らし始め――
「……あ、あ、ありがとう。疑って、ごめん。あたし、あたし……。……うああぁぁぁん!」
ついには、号泣を始めた。
よほど感情が爆発したのか、何度もうわずりながら涙を流す。
そして――
「う、嬉しいよ。嬉しか。……嬉しかあっ!!」
…………え?
…………嬉し、かあ?
……………………えっと。…………博多弁?
金髪美少女が、博多弁全開なその光景。
ますます違和感。
……え、ここ、戦国時代の尾張だよね?
どうもこの子、かなりの訳ありのようだが……。
「……な、なあ。よかったら、身の上を教えてくれよ。知り合ったのもなにかの縁だ。俺ができることなら、なんとか力になるからさ」
その上で「話したくないなら、無理にとは言わないけど」とも付け足したのだが、
「カンナ」
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!