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「ん。……あはっ。そんな目でみらんでよ。あたしはさ、その。……これからやって思っとるけんさ! 弥五郎と出会って、これからまた頑張っていこうって、そう決めたんやけん!」
「…………そうだよな。これからだよな」
「そうそう、これからよ!」
誰かと話をしていると、不思議だ。
まだなにも始まっていない、先の展望さえ見えない自分の人生にも、なぜだか勇気が湧いてくる。
そうだ、これからだ。
なにもかも、これからなんだ。
……せめて気持ちは前向きにいこう。
「あっ、弥五郎。あれ――」
と、カンナが指さした。
はるか彼方に、街並みが見えてきている。
「津島だ」
俺は、そう言った。
「ひゃあ、賑やかだな……!」
到着した津島の町は、加納市場以上の活気に満ち溢れていた。
港町でもある。海のほうには、大きな船が何十艘と停泊していた。
町中は大量の人が行き来している。数多くの店が立ち並び、呼び込みの人が通行人に呼び込みの声をかけている。
かと思うと、
「わっせ、わっせ」
などと、やたらガタイのいい男たちが、米俵を担いで、どこかに向かって走っていった。
「あの米、どこに持っていくんだろうなあ」
「さあねえ。もしかしたら織田家かもしれんね」
「ああ、ありえるな。織田と津島は縁が深いから」
織田家は、信長の祖父、織田信定の代から津島とパイプを作っている。
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