第二十四話 津島到着、そして

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 クォーターでここまでハッキリと白人の顔立ちなのも珍しい気がする。  隔世遺伝、ってやつかもな。 「……カンナ、危険を感じたら言えよ」 「……うん、ありがと。あたしは大丈夫だから」  強がるカンナだったが、その笑顔とは裏腹に、やはりどこか傷付き、かつ怖がっているのがハッキリと分かる。  なんとかしてあげたい。いまの自分に力がないのが恨めしかった。  ――ところで、そろそろ太陽が西に沈みかけている。 「とりあえず、今日はもう、宿にでも泊まるか?」 「そうやね。お馬さんも疲れとるやろうし」  カンナが、馬の首をそっと撫でてやる。  馬は、ぶるるる、と懐くようにいなないた。  俺たちは宿を探すため、津島の町をうろつき始める。  そして――あった。  町の外れに、『おやど もちづきや』と書かれた宿があった。  古い宿だ。スキマ風が冷たそうだが、 「だけど、いかにも安そうだな。……安すぎるってのも不安なんだが」 「やけど節約はせんといかんしね。……ね、とりあえず、宿賃がいくらか聞いてみらん? あそこに人がおるよ。たぶん宿の人やろ」  カンナが言った通り、『もちづきや』の前にはふたり、人がいる。  ひとりは俺たちよりちょっと年下くらいの、おかっぱみたいな短い髪の女の子。     
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