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クォーターでここまでハッキリと白人の顔立ちなのも珍しい気がする。
隔世遺伝、ってやつかもな。
「……カンナ、危険を感じたら言えよ」
「……うん、ありがと。あたしは大丈夫だから」
強がるカンナだったが、その笑顔とは裏腹に、やはりどこか傷付き、かつ怖がっているのがハッキリと分かる。
なんとかしてあげたい。いまの自分に力がないのが恨めしかった。
――ところで、そろそろ太陽が西に沈みかけている。
「とりあえず、今日はもう、宿にでも泊まるか?」
「そうやね。お馬さんも疲れとるやろうし」
カンナが、馬の首をそっと撫でてやる。
馬は、ぶるるる、と懐くようにいなないた。
俺たちは宿を探すため、津島の町をうろつき始める。
そして――あった。
町の外れに、『おやど もちづきや』と書かれた宿があった。
古い宿だ。スキマ風が冷たそうだが、
「だけど、いかにも安そうだな。……安すぎるってのも不安なんだが」
「やけど節約はせんといかんしね。……ね、とりあえず、宿賃がいくらか聞いてみらん? あそこに人がおるよ。たぶん宿の人やろ」
カンナが言った通り、『もちづきや』の前にはふたり、人がいる。
ひとりは俺たちよりちょっと年下くらいの、おかっぱみたいな短い髪の女の子。
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