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「……あ、いや……。……大変だね……」
あかりちゃんが、滝川一益に代わって俺たちに謝ってくる。
近くで見ると、吸い込まれそうな綺麗な目をした、可愛らしい女の子だった。
「その、こちらのひとは滝川久助さまといいまして。悪いひとじゃないんですよ。ただちょっと、お酒を飲みすぎるだけで」
「げろげろげろげろ。……ち、ちくしょう、不覚だ。オレとしたことが、こんな――げろげろげろげろ!」
「ああ……もう、こんなに吐いて。お水、持ってきましょうか?」
「い、いや、いい。……げろげろげろげろ!」
ゲロインならぬゲロ武将と化してしまっている滝川一益。
あかりちゃんは、心配そうに滝川一益を見つめながら、しかし小さくため息をついた。
「――もう、滝川さま。あしたのイノシシ退治の件、どうされるんですか?」
「んぐ。うっぷ。そ、それは――」
「このままじゃ、とても行けませんよね?」
「そ、そんなことは。こ、この滝川久助、引き受けた仕事は必ず、げ、げろげろげろげろ!」
「「…………」」
俺とカンナはその様子を半ば呆れ気味に見ていたが――
やがて俺は、あかりちゃんに声をかけた。
「イノシシ退治って、なんだい?」
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