第二十五話 尾州錯乱(と、その余波)

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「……あ、いや……。……大変だね……」  あかりちゃんが、滝川一益に代わって俺たちに謝ってくる。  近くで見ると、吸い込まれそうな綺麗な目をした、可愛らしい女の子だった。 「その、こちらのひとは滝川久助さまといいまして。悪いひとじゃないんですよ。ただちょっと、お酒を飲みすぎるだけで」 「げろげろげろげろ。……ち、ちくしょう、不覚だ。オレとしたことが、こんな――げろげろげろげろ!」 「ああ……もう、こんなに吐いて。お水、持ってきましょうか?」 「い、いや、いい。……げろげろげろげろ!」  ゲロインならぬゲロ武将と化してしまっている滝川一益。  あかりちゃんは、心配そうに滝川一益を見つめながら、しかし小さくため息をついた。 「――もう、滝川さま。あしたのイノシシ退治の件、どうされるんですか?」 「んぐ。うっぷ。そ、それは――」 「このままじゃ、とても行けませんよね?」 「そ、そんなことは。こ、この滝川久助、引き受けた仕事は必ず、げ、げろげろげろげろ!」 「「…………」」  俺とカンナはその様子を半ば呆れ気味に見ていたが――  やがて俺は、あかりちゃんに声をかけた。 「イノシシ退治って、なんだい?」     
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