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「うおっ!?」
「弥五郎を殺さんとって!」
「ど、どけっ、小娘!!」
「どかんし! その武器、捨ててっ! お願いやけん――」
一秒か、二秒か。
短い時間、ふたりはもみ合った。
そして、その結果――ふぁさり。
カンナのかぶっていた布がほどけ、地面に落ちた。
「「……!!」」
滝川一益と、あかりちゃん。
ふたりは息を呑む。
夕焼けで満ちた、紅一色の世界の中。
美しい金髪が、サラサラと風に揺れていた。
「お、お前……」
「き、綺麗な髪。――きらきらしてる」
滝川一益もあかりちゃんも、おそらくはじめて見る金髪。
その髪の色に、ふたりは呆然としている。
カンナは無言のまま、焦ったようにみずからの長い髪をつかんだ。
場の空気が、静まる。
滝川一益からそっと逃れた俺は、静かに言った。
「この子は外国の血を引いているんです。だからこういう髪の色なんですが」
「「…………」」
「……あの。仕事を横取りしようとして、すみませんでした。酔っぱらっておられるから、無理なんじゃないかと思って名乗り出たんですが、失礼なことをしました」
「「…………」」
「カンナ、ありがとう。助かったよ。……行こう。ちょっと縁がなかったみたいだ」
「あ。……うん」
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