第二十六話 滝川一益の謎

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 俺とカンナは、その場を立ち去ろうとする。  そのとき「おい」と滝川一益が言った。 「布を忘れてるぞ」 「え」  振り返ると、確かに彼の足下に布が落ちている。  カンナがまとっていた布だ。 「…………忘れるんじゃねえよ」  滝川一益は、ぶっきらぼうな口調で。  しかし何気ないしぐさで、落ちている布を拾おうとした。  すると。――彼は突然、目の色を変えた。 「こ、こいつは……?」  どうやら、なにかを見つけたらしい。な、なんだ?  彼は、カンナの布と一緒にその『なにか』を拾い上げて、見つめている。  滝川一益が持っているそれは―― 「早合……」  もちろん俺のものだ。  そうか。さっき、滝川一益に迫られて、革袋に思わず手を突っ込んだときだ。  ひとつ、袋からこぼれ落ちてしまっていたらしい。  滝川一益は、早合を見て、驚いた表情である。  かと思うと、指先で触り、クンクンと匂いをかぎ、さらに眉間にしわを寄せる。 「これは、ハヤゴウ、っていうのか。お前、これをどこで手に入れた?」 「手に入れたというか。……作ったんです」 「作った!? お前が!? 本当か!?」 「はい」     
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