4717人が本棚に入れています
本棚に追加
「……火薬と弾を、紙で包んでいるのか? こんな変なもん、見たことがねえ。……おい、これはもしかして、火縄銃で使うやつか? 使ったらどうなる!?」
「……短い時間で、撃つことができます」
俺は早合の仕組みや特徴、性能を、滝川一益に話した。
すると彼は驚き、何度も何度もうなずいた。
「オレも鉄砲には詳しいつもりだったが、こんな発想はしたことがなかったぜ。お前――やりやがるな。大したもんだ。見事だ……!」
滝川一益は、ひたすら驚いている。
まあ、そうだろう。紙製の薬莢は西欧にはすでに登場しているが、まだこの時期の日本には登場していない。出てくるのはもう少しあとの時代のはずだ。
「……久しぶりだぜ」
「え」
「……何年ぶりだろう。こんなに興奮するのは――」
そして滝川一益は、叫んだ。
「頼む。早合の作り方や使い方を教えてくれ。もっと知りたいんだ、鉄砲のことを!」
「え――」
「お願いだ! 謝礼ならなんでもしよう! いまは金も米もないが、必ず払うから――」
「え、え、えっと。……いや、でも――」
「や、やっぱりだめか!? 一生のお願いなんだが、それでもだめかっ!?」
滝川一益は、やたらガッついてくる。
……一生のお願いってフレーズ、あんまり信用できないんだが……。
最初のコメントを投稿しよう!