第二十六話 滝川一益の謎

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「……火薬と弾を、紙で包んでいるのか? こんな変なもん、見たことがねえ。……おい、これはもしかして、火縄銃で使うやつか? 使ったらどうなる!?」 「……短い時間で、撃つことができます」  俺は早合の仕組みや特徴、性能を、滝川一益に話した。  すると彼は驚き、何度も何度もうなずいた。 「オレも鉄砲には詳しいつもりだったが、こんな発想はしたことがなかったぜ。お前――やりやがるな。大したもんだ。見事だ……!」  滝川一益は、ひたすら驚いている。  まあ、そうだろう。紙製の薬莢(やっきょう)は西欧にはすでに登場しているが、まだこの時期の日本には登場していない。出てくるのはもう少しあとの時代のはずだ。 「……久しぶりだぜ」 「え」 「……何年ぶりだろう。こんなに興奮するのは――」  そして滝川一益は、叫んだ。 「頼む。早合の作り方や使い方を教えてくれ。もっと知りたいんだ、鉄砲のことを!」 「え――」 「お願いだ! 謝礼ならなんでもしよう! いまは金も米もないが、必ず払うから――」 「え、え、えっと。……いや、でも――」 「や、やっぱりだめか!? 一生のお願いなんだが、それでもだめかっ!?」  滝川一益は、やたらガッついてくる。  ……一生のお願いってフレーズ、あんまり信用できないんだが……。     
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