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「へえ。それがどうして、あんなに酒飲みになっちゃったんだろう?」
「それは分かりません。実家のほうでいろいろあったみたいですが」
「ふうん……」
俺は、道端にうずくまっている滝川さんの背中を見た。
あそこまで酒飲みになるのは、褒められたことじゃない。
だけど、気持ちがまるで分からないわけでもない。
前世で、飲んだくれたいと思ったことは何度もあったしな。
酒がダメな体質だったせいで、そうはならなかったけど。
やがて滝川さんは、戻ってきた。
「……ようやく少し落ち着いたぜ。すまんな、山田、あかりちゃん」
「滝川さま、お水飲みます?」
「ああ、頼む。……ごくごくごく」
あかりちゃんが竹筒を差し出す。滝川さんが水を飲む。
その様子を、カンナは無言で観察していた。
金髪と、赤いマントが、風に揺れている……。
……さっき、滝川さんはカンナに話しかけなかった。
あかりちゃんも、あまりカンナと関わろうとはしない。
金髪に抵抗があるのか。どう話したらいいのか分からないのか。
どうにかしたい気もするが、こればっかりは俺にも名案が浮かばない。
カンナと、滝川さん&あかりちゃんは、口を利かないままだった。
――さてその後。
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