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「あ、うん。あのね、鉄砲に詳しい山田弥五郎さんと、その相棒のカンナさん。イノシシ退治を手伝ってくれるの」
「ほう、手伝い」
八兵衛翁は、じろじろと俺たちを。
特にカンナのほうをうさんくさげに見回した。
「手伝い、のお。……子供がふたりでなにができるんじゃ。しかも娘のほうはその髪……?」
「あ、えっと。……爺ちゃん。山田のお兄さん、すごく鉄砲に詳しいんだよ。だから手伝いっていうのは言葉のアヤっていうか」
あかりちゃんは弁護してくれる。
だが八兵衛翁はそれ以上、俺たちにはなにも言わず。
「滝川さま。イノシシはあちらに逃げましたぞ」
と、滝川さんに話しかけ始めてしまった。
八兵衛翁にとって俺たちは、頼りなく、かつうさんくさい子供二人に見えたようだ。
……まあ、仕方ないっちゃ仕方ない。実際、少年と少女だからな。
(あたしたち、あんまり歓迎されとらんごたる)
(気にするな。俺たちは、やるべきことをやるだけだ)
俺は早合を準備しながら、ひそひそ声で言った。
そう、やるべきことをやる。とりあえずいまは、イノシシを倒す。それだけだ。
「本来、イノシシってのは臆病な生き物ですじゃ」
八兵衛翁が、言った。
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