第二十七話 以後、お見知りおきを

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「だが冬の時期は繁殖期でしてな。メスを求めて興奮するオスイノシシがたまに出てきます。先ほどのイノシシも、そのたぐいでしょう」  海老原村のあぜ道を歩き回る、俺、カンナ、滝川さん、あかりちゃん、八兵衛翁。  八兵衛翁は、俺たちに、というより滝川さんに向けてイノシシのことを解説していた(なお馬は、村の入口に置いてきた) 「それであのイノシシは、急に襲ってきたわけだな」 「そうですじゃ。……もっとも、いきなり出くわしたのは運が悪かったですな」 「まったくだ。……イノシシはこのあたりに逃げたな?」  滝川さんがあたりを見回す。  先ほど、イノシシが逃げこんだ森の入口に、俺たちは到着していた。  俺と滝川さんは、顔を見合わせて、こくりとうなずいた。 「それじゃ、あとはオレと山田でイノシシを退治しよう。八兵衛殿とあかりちゃんたちは家の中にでも入ってな」 「あ、はい」 「それじゃ滝川さま、お願いしますじゃ」 「弥五郎。……大丈夫?」 「大丈夫だよ。カンナこそ大丈夫か?」  あかりちゃんとも八兵衛翁ともほとんど話していないカンナ。  俺と離れて大丈夫かな、と心配だったが、 「あたしは大丈夫やけん。……じゃあ、気をつけてね」  カンナは薄い笑みを浮かべ、あかりちゃんたちと去っていった。  あとには俺と、滝川さんだけが残される。     
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